【まちの見本帖】現地取材レポート・墨田区向島編|後藤大輝さんと巡るすみだ向島EXPO!下町のあちらこちらで生まれる表現の背景を知る

【まちの見本帖】現地取材レポート・墨田区向島編|後藤大輝さんと巡るすみだ向島EXPO!下町のあちらこちらで生まれる表現の背景を知る

 
2021年より全国の先進的なまちづくりに取り組む人・会社を紹介してきたまちびらきイベント「まちの見本市」は、この秋より調査チームを発足!出店してくださっている方が活動するまちへ訪れ、その活動の裏側や詳細を調査しています。
そして、その調査のプロセスと考察をお届けするために、事業者の取り組みを“媒介”という観点でまとめる調査ブック「まちの見本帖」、まちの風景を広めるポッドキャストシリーズ「まちの見本録」を始めています。
まちの見本市に向けて、訪れるまちは全部で6箇所。この調査レポートでは、調査の様子の一部をお届けいたします。
 
3つめの調査・取材先は、東京墨田区京島にて長屋など様々な建物の活用や運営を行う後藤大輝さん。 後藤さんが実行委員長をつとめる「すみだ向島EXPO」の様子もあわせて伺うべく、調査チームは現地へと足を運びました。
EXPOが開催されているのは、東京スカイツリーがたつ押上駅から少し北側に進んだ先にある、“向島地域”と呼ばれるエリアです。
“向島地域”とは、おもに京島・八広・文花エリアをさし、戦後の⾼度経済成⻑を⽀えたものづくりのまちとして今も多くの長屋や町工場が残るまちです。 また以前よりそのレトロな街並みや、下町文化を気に入ったアーティストやクリエイターが住み始め、場所を改修してお店を始めたり、様々な表現活動を行う動きもあるのだとか。
そんなまちで毎年10月に約1ヶ月開催される「すみだ向島EXPO」では、町内外のアーティストやクリエイターと、地域住民や市民団体が一体となり、古民家や店舗、空き地など様々な場所を活用した展示会やイベントなど、100近い催しが行われています。
後藤大輝さん
1979年生まれ。愛知出身。2008年に京島へ移住。2010年より墨田区京島にて「爬虫類館分館」を開始。現在は30近い場所を運営する。古い長屋だけでなく、新しい建物が街に馴染む建築のあり方も模索中。100年先の土地建物・長屋文化を継承する受け皿、八島花文化財団 代表理事。暇と梅爺株式会社 代表取締役。すみだ向島EXPO実行委員会・委員長。
後藤大輝さん 1979年生まれ。愛知出身。2008年に京島へ移住。2010年より墨田区京島にて「爬虫類館分館」を開始。現在は30近い場所を運営する。古い長屋だけでなく、新しい建物が街に馴染む建築のあり方も模索中。100年先の土地建物・長屋文化を継承する受け皿、八島花文化財団 代表理事。暇と梅爺株式会社 代表取締役。すみだ向島EXPO実行委員会・委員長。
 
EXPOのスタート地点は、京成曳舟駅から徒歩7分ほど歩いたところにある、総合受付「うちらの居間分館」です。 受付で入場料(※)を払うと、案内マップ、バッチ、商店街で使えるギフト券がもらえます。
※一般3,500円/墨田区民・大学生 2,500円/高校生以下 ご招待
 
「うちらの居間分館」まちの人が使えるシェアスペースとしてEXPO期間外も様々な用途で活用されている
「うちらの居間分館」まちの人が使えるシェアスペースとしてEXPO期間外も様々な用途で活用されている
ネット上では開催場所は示されていないので、マップで詳細を確認します。記載されている場所は全部で53箇所。バッチはパスポートとして、会期中はずっと使用することができるので、日を分けて訪れることも可能です。 ギフト券は会場がたくさん集まっている「キラキラ橘商店街」の取扱店で使うことができるので、あわせてお買い物も楽しめます。
さっそく商店街を進んでいきます。
 
キラキラ橘商店街 入り口
キラキラ橘商店街 入り口
 
元の建物の看板や面影を残しながらも、新しくお店をやる人たちが改修し、自分たちらしいかたちで飲食店や雑貨の販売など行っています。 このEXPO期間中もそんなお店を活用しながら、開催される展示やイベントがたくさんあります。 バーバーアラキでは、ストーリーセンターなるものが。お店の方とのおしゃべりを通じて、EXPOの紹介や、京島のストーリーを伝えたり、訪れる人の“ストーリー”を聞いていたりしている。
バーバーアラキのお隣にある「海野貴彦商店NANZO」。雑貨やアーティストの作品が購入できる
バーバーアラキのお隣にある「海野貴彦商店NANZO」。雑貨やアーティストの作品が購入できる
今年のEXPOは台湾からのアーティストも多く、台湾と日本をリアルタイムで繋ぐ映像作品や工芸品もあれば、手作りのアクセサリーまで様々。、かつての長屋空間を活かした展示も見られました。
 
大々的な地域芸術祭を掲げるのではなく、あくまでも町の暮らしの上になりたつEXPOは、会期中ずっと展示会場として開いてる場所もあれば、週末だけイベント会場になったり、単日開催でワークショップをすることもあります。
そんな余白があるからこそ、日々この町で暮らす人々の風景にもたくさん出会うことができます。
また展示を見ることに合わせて、長屋でお店を始めた経緯をお店の人に聞いてみたり、ふと目についた惣菜屋さんのモツ煮が美味しそうで買ってみたり、狭く密集する場所だからこそ、まちにいる人たちの距離が近く、自然とコミュニケーションが生まれていました。
 
3軒が一緒になった「三角長屋」ではカフェや洋服お直し屋さんが営業をしている
3軒が一緒になった「三角長屋」ではカフェや洋服お直し屋さんが営業をしている
 
そして細く曲がりくねった路地を歩いていくと、急にEXPOの旗をつるした場所が現れることも。
特別な建物や分かりやすい場所だけではなく、街の中にひっそりと佇む民家や、ビルの一角、路地にまで、あっと思う場所にも面白い何かが潜んでいることがあります。この油断できなさが、かえって町をよくみたり、関わるきっかけを産んでいくように感じました。
 
一瞬信じてしまいそうになるが遺跡発掘調査“風”の看板
一瞬信じてしまいそうになるが遺跡発掘調査“風”の看板
まちを案内いただいてる最中でも、行く先々で知り合いに声をかけられたり、お店の人が不在でも、どういう人がどのような経緯でお店を始めたのかなどスラスラと説明してくれる後藤さん。建物の歴史や、空き地になった経緯など、まちの変化の様子も丁寧に教えてくれます。
EXPOを始める前から暇と梅爺株式会社を立ち上げ、長屋を始めとした多くの建物の活用や、場所の運用を行ってきたからこそ、生まれている関係性や活動があるのだと感じることができました。
Podcastでは、そんな後藤さんとまちとの出会いから、どのようにして今の活動に繋がっていったのか、今後目指していきたいことまで、たくさんお話しを聞かせていただきました。
収録はomusubi不動産の殿塚さんが聞き手となりお話しを伺いました。
収録はomusubi不動産の殿塚さんが聞き手となりお話しを伺いました。
詳細はぜひPodcast「まちの見本録」(1月公開予定)をお聞きください。 また、後藤さんの京島での活動(暇と梅爺株式会社/八島花文化財団)の詳細については、来年発刊される調査ブック「まちの見本帖」に掲載予定です。ぜひお楽しみに。
すみだ向島EXPO 公式サイト:https://sumidaexpo.com/