【まちの見本帖】現地取材レポート・石巻編|巻組・渡邊享子さんに学ぶ、多様な人々の暮らしと交流を生み出す空家改修の可能性

【まちの見本帖】現地取材レポート・石巻編|巻組・渡邊享子さんに学ぶ、多様な人々の暮らしと交流を生み出す空家改修の可能性

 
全国の先進的なまちづくりに取り組む人・会社を紹介してきたまちびらきイベント「まちの見本市」は、この秋より調査チームを発足!出店してくださっている方が活動するまちへ訪れ、その活動の裏側や詳細を調査していきます。
そして、その調査のプロセスと考察をお届けするために、事業者の取り組みを“媒介”という観点でまとめる調査ブック「まちの見本帖」、まちの風景を広めるPodcastシリーズ「まちの見本録」を始めています!
次回のまちの見本市に向けて、訪れるまちは全部で6箇所。この調査レポートでは、調査の様子の一部をお届けいたします。
今回の調査・取材先は、株式会社巻組。宮城県石巻市にて空き家を活用したシェアハウスやゲストハウス、コワーキング、住居の物件の管理・運営を行っています。巻組は、接道要件を満たしておらず再建築ができないなど、条件の悪い不動産を資源として捉え、クリエイティブな人材や多様な生き方を望む人々に活用してもらうことで、地域に関わる「関係人口」の増加を図っています。今回は、代表取締役の渡邊享子さんに石巻での活動を伺うべく、現地へと足を運びました。
渡邊 享子(わたなべ きょうこ)さん
2011年、大学院在学中に東日本大震災が発生、研究室の仲間とともに石巻へ支援に入る。そのまま移住し、石巻市中心市街地の再生に関わりつつ、市内の空き家を改修して若手の移住者に活動拠点を提供するプロジェクトをスタート。2015年3月に巻組を設立。地方の不動産の流動化を促す仕組み作りに取り組む。会社経営のかたわら、一般社団法人 ISHINOMAKI2.0理事も務める。2016年から2019年は東北芸術工科大学講師として教鞭をとった。2016年、COMICHI石巻の事業コーディネートを通して日本都市計画学会計画設計賞を受賞。2019年、「第7回DBJ女性新ビジネスプランコンペティション女性起業大賞」を受賞。
渡邊 享子(わたなべ きょうこ)さん 2011年、大学院在学中に東日本大震災が発生、研究室の仲間とともに石巻へ支援に入る。そのまま移住し、石巻市中心市街地の再生に関わりつつ、市内の空き家を改修して若手の移住者に活動拠点を提供するプロジェクトをスタート。2015年3月に巻組を設立。地方の不動産の流動化を促す仕組み作りに取り組む。会社経営のかたわら、一般社団法人 ISHINOMAKI2.0理事も務める。2016年から2019年は東北芸術工科大学講師として教鞭をとった。2016年、COMICHI石巻の事業コーディネートを通して日本都市計画学会計画設計賞を受賞。2019年、「第7回DBJ女性新ビジネスプランコンペティション女性起業大賞」を受賞。
 
宮城県石巻市は、仙台市から電車でも車でもおよそ1時間の場所にあり、人口は約13万人(2025年12月時点)。宮城県内では仙台市に次いで人口の多いまちです。
石巻市は、2011年の東日本大震災では大きな被害を受けた地域としても知られています。今回取材させていただいた渡邊さんも、震災の時は東京の大学院に通う学生で、元々はボランティアとして石巻を訪れ、「震災ボランティアの住むところがない」という問題から、空き家の利活用に注目し、現在の事業を始められました。
 
調査のスタート地点は、JR石巻駅。駅前やまちの至る所に石巻ゆかりの漫画家・石ノ森章太郎の作品に登場するキャラクターのオブジェが設置され、レトロな雰囲気が漂っていました。 巻組スタッフの佐藤優花さんの案内を受けながらまちを散策すると、昔ながらの建物と新しい建物が混在していることに気付きました。石巻市は元々商業が盛んなまちであり、1階が店舗、2階が住居となっている建物が多いとか。渡邉さんが手がけた初期のシェアハウス「SHARED HOUSE 八十八夜」も、お茶屋さんの2階をリノベーションした物件だったそうです(残念ながら、現在は取り壊されています)。
 
石巻駅
石巻駅
石巻市指定文化財旧観慶丸商店
石巻市指定文化財旧観慶丸商店
石巻駅から徒歩10分。巻組が手がける「Creative Hub(クリエイティブハブ)石巻[c]」に到着しました。Creative Hub石巻は、長年倉庫として利用されていた場所をリノベーションし、クリエイターに制作環境と作品発表の機会を提供するための制作アトリエとして2020年に誕生しました。使われていない地域資源を活用しながら、クリエイターたちが作品制作や事業づくりに取り組んでいる他、中には東京から月1〜2回のペースで来訪される方もいるそうです。
また、現在は会員制コワーキングスペース「Third Self(サードセルフ)」も開設されています。年会費33,000円(税込)でコワーキングスペースを利用できるほか、年2回の海産物のお届けが含まれるなど、利用者にとって嬉しい特典が充実したスペースとなっています。
現在この場所の利用は10名ほどおり、多くの方が利用するスペースとなっています。
Creative Hubの外観
Creative Hubの外観
Creative Hub建物内
Creative Hub建物内
続いて案内していただいたのは、「Roopt石巻中央 -COMICHI-」。こちらは、1階が飲食店、2階がシェアハウスとなっている物件です。巻組が運営するシェアハウスは最短1ヶ月から入居が可能ということもあり、石巻で新たなチャレンジを試みる若者や、外国人が気軽にステイできる場として運営されているそうです。
COMICHIから、さらに歩くこと数分。「Roopt石巻泉町-OGAWA-」に到着しました。築約70年の古民家を改修した一棟貸しのゲストハウスで、隣には、お惣菜屋さんの「季節のおいしい食卓 SONO」があります。
昔ながらの建物を生かした造りで、まるで田舎のおばあちゃんの家に遊びに来たかのような感覚でした。 また、SONOさんの500円朝食も魅力的。その他にも、Creative Hubでも活動されている、合同会社もものわさんの杉ハーブティーがウェルカムドリンクとして置いてあり、石巻らしさを感じることができます。
SONOさんの朝食はおにぎりと味噌汁に小鉢がつく
SONOさんの朝食はおにぎりと味噌汁に小鉢がつく
OGAWAから歩いて数分の所にあるのが、今回、Podcast「まちの見本録」の収録現場として利用させていただいた「シアターキネマティカ」。ここは巻組が手がけた物件ではないのですが、こちらも元々は布団屋さんだった建物。石巻市中心部にはこのように震災後リノベーションされた物件が数多くあります。
シアターキネマティカは小劇場やミニシアター、イベントスペースとして利用されており、併設された Cafe "City Lights" は、カラフルで可愛らしい雰囲気が印象的でした。
シアターキネマティカ建物内
シアターキネマティカ建物内
まちを歩いている間も、顔見知りの方から声をかけられたりと、地域の人たちの距離が近い印象でした。渡邊さんも石巻について「多才な方がたくさんいるまち」と表現されており、ここから色々なものが生まれているんだと感じることができました。
Podcastでは、渡邊さんが石巻市にやってきた理由から、どのようにして今の活動に繋がっていったのか、今後目指していきたいことまで、たくさんお話しを聞かせていただきました。
収録はomusubi不動産の殿塚が聞き手となりお話を伺いました。
収録はomusubi不動産の殿塚が聞き手となりお話を伺いました。
詳細はぜひPodcast「まちの見本録」(1月公開予定)をお聞きください。 また、渡邊さんの石巻での活動(株式会社巻組)の詳細については、2026年2月に発刊される調査ブック「まちの見本帖」に掲載予定です。ぜひお楽しみに。
株式会社 巻組 公式サイト:https://makigumi.org/